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【2】 -警護騎士シンハ、殺人教団と応敵す。-
■01■
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津波の様に迫る、高く聳えた神々の領域であるニルギスの峰々。
山頂に冠した白い万年雪と、黒い山肌のコントラストが美しい。
森の木々は風にそよぎ、心地よい音を奏でていた。
そんな牧歌的な雰囲気の中を進むのは、カーティク商会に属する旅団である。
諸国で取引を行いつつ、購入品と売上金を商会支部へ輸送する途中。
空いたスペースを利用して、乗合馬車を運行している。
今、旅団が居る位置は、ヴィクラム大公が治める領地。
その領地内のパルヒと言う土地を通過している。
旅団は荷馬車3台を中央にして、徒歩と騎馬で構成されていた。
その周囲には、槍や剣を携帯した警備兵が徒歩で随行している。
そして、前後と左右に一人ずつ騎馬兵が守備を固めていた。
その4人は兜と胴鎧、脛当てと手甲に身を包み、警護の統率を行っている。
「あっついなぁ…。」
4人の警備兵の一人、先頭を進む騎馬兵はそう呟く。
警備隊長のシンハは、被っていた兜の端を持ち上げ、蒸れた頭部に空気を入れた。
大きい鷲鼻、太く濃い眉。
その下にある目も大きく、西方系の濃い人相をしている。
ガタイは大きく、腰に幅広の両刃剣を下げていた。
この世界では武士と呼ばれる階級に属している。
カースト制度の内で戦士でありつつ、商人的な側面を持つ士族を指す。
彼等は主君は持つが、領地を持たず警備や傭兵を生業としていた。
カースト制度の中では、下級貴族と言える位置に属している。
彼は領地は持たないが貴族の位を持っており、他の三人は彼の部下に当たる。
名前だけの爵位を持ち、高位の貴族からの雑用を行うのが、彼の武士としての仕事だ。
今回は、主君であるアディティア大公からの命令で、旅団の警護任務に就いている。
最近、このハルピの領土内で山賊が横行しており、多くの旅人や商人に被害が続出しているとの話だ。
だが、この旅はアクシデントもなく順調そのものだった。
「シンハ殿、いらぬ心配でしたなぁ♪」
シンハの真後ろから、馬車を操る旅団のリーダーが笑う。
「まったく、だが何事も無いのが一番良いよっ。」
兜を被り直し、位置を正しながらシンハは彼に応えた。
山賊撃退の様な命を賭した仕事が生じず、無事に任務を達成完了する事。
それは、武士としてシンハ自身の功績にもなる。
損失なく任務を終えられる方が、彼にとっても有り難い。
だが、安心して気を緩めてしまうのも、良くない事をシンハは理解している。
今でも、山林の奥から悪意を持った盗賊が、こちらの様子を伺っているかも知れない。
天まで届き、大陸にまたがる巨大なニルギス山脈を横目に、旅団はアクシデントもなく粛々と旅程を進んでいる。
旅団が進む山道は、片側は森が生い茂っているが、緩やかな登り斜面。
反対側は下り斜面で、それを森の木々が隠している、逃げ場の無い一本道。
一見すると、両側から襲撃は出来ない様にも見える。
しかし、そうした場所で緊張を解くことは危険だという事もシンハは理解していた。
「…見えたっ!見えましたぜ、お頭っ!!」
山林の奥、木々の隙間から街道の様子を伺っていた見張りが声を上げた。
「よし…っ!行くよっお前たちっ!!」
しゃがんで息を殺していたジャイラダは、立ち上がると仲間たちへ声をかけた。
山頂に冠した白い万年雪と、黒い山肌のコントラストが美しい。
森の木々は風にそよぎ、心地よい音を奏でていた。
そんな牧歌的な雰囲気の中を進むのは、カーティク商会に属する旅団である。
諸国で取引を行いつつ、購入品と売上金を商会支部へ輸送する途中。
空いたスペースを利用して、乗合馬車を運行している。
今、旅団が居る位置は、ヴィクラム大公が治める領地。
その領地内のパルヒと言う土地を通過している。
旅団は荷馬車3台を中央にして、徒歩と騎馬で構成されていた。
その周囲には、槍や剣を携帯した警備兵が徒歩で随行している。
そして、前後と左右に一人ずつ騎馬兵が守備を固めていた。
その4人は兜と胴鎧、脛当てと手甲に身を包み、警護の統率を行っている。
「あっついなぁ…。」
4人の警備兵の一人、先頭を進む騎馬兵はそう呟く。
警備隊長のシンハは、被っていた兜の端を持ち上げ、蒸れた頭部に空気を入れた。
大きい鷲鼻、太く濃い眉。
その下にある目も大きく、西方系の濃い人相をしている。
ガタイは大きく、腰に幅広の両刃剣を下げていた。
この世界では武士と呼ばれる階級に属している。
カースト制度の内で戦士でありつつ、商人的な側面を持つ士族を指す。
彼等は主君は持つが、領地を持たず警備や傭兵を生業としていた。
カースト制度の中では、下級貴族と言える位置に属している。
彼は領地は持たないが貴族の位を持っており、他の三人は彼の部下に当たる。
名前だけの爵位を持ち、高位の貴族からの雑用を行うのが、彼の武士としての仕事だ。
今回は、主君であるアディティア大公からの命令で、旅団の警護任務に就いている。
最近、このハルピの領土内で山賊が横行しており、多くの旅人や商人に被害が続出しているとの話だ。
だが、この旅はアクシデントもなく順調そのものだった。
「シンハ殿、いらぬ心配でしたなぁ♪」
シンハの真後ろから、馬車を操る旅団のリーダーが笑う。
「まったく、だが何事も無いのが一番良いよっ。」
兜を被り直し、位置を正しながらシンハは彼に応えた。
山賊撃退の様な命を賭した仕事が生じず、無事に任務を達成完了する事。
それは、武士としてシンハ自身の功績にもなる。
損失なく任務を終えられる方が、彼にとっても有り難い。
だが、安心して気を緩めてしまうのも、良くない事をシンハは理解している。
今でも、山林の奥から悪意を持った盗賊が、こちらの様子を伺っているかも知れない。
天まで届き、大陸にまたがる巨大なニルギス山脈を横目に、旅団はアクシデントもなく粛々と旅程を進んでいる。
旅団が進む山道は、片側は森が生い茂っているが、緩やかな登り斜面。
反対側は下り斜面で、それを森の木々が隠している、逃げ場の無い一本道。
一見すると、両側から襲撃は出来ない様にも見える。
しかし、そうした場所で緊張を解くことは危険だという事もシンハは理解していた。
「…見えたっ!見えましたぜ、お頭っ!!」
山林の奥、木々の隙間から街道の様子を伺っていた見張りが声を上げた。
「よし…っ!行くよっお前たちっ!!」
しゃがんで息を殺していたジャイラダは、立ち上がると仲間たちへ声をかけた。
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