【レイプ】伝染る。(うつる。)

悪魔ベリアル

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品が良い白い調度品で飾られた応接間。
広さは12畳ほどだろうか、
設置された窓は、大人の男性より高い。
天井も高く、二階まで吹き抜けている。

広間の中央には、大きなガラステーブルがひとつ
それは青く透き通っていて、美しい池の様に見えた。
その周囲を白い革張りのソファが、囲う様に配置されている。

そして、そのソファには三人の人物が座って居た。
ひとりは、20代後半の女性
黒髪の長髪。
紺色のパンツズボン
白いフリルの付いたブラウスシャツ。
さらりっとした黒髪が、可愛らしい彼女の頬にかかっている。
愁いを帯びたその表情で、顔は曇っているが
清楚で上品な雰囲気が漂っている。
それが、彼女がこの高級住宅の住人で、上流家庭の生まれである事を物語っていた。
彼女の名前は、幸村カリン。

大手の塾講師であり、その塾長の一人娘。
ゆくゆくは塾を受け継ぐ予定のご令嬢であった。

彼女に対して、ガラステーブルを挟んで男女が座している。
二人とも背広を着て、明らかに仕事として彼女と相対している雰囲気だ。

男の髪型は、ピッチリと撫でつけて整えられて、
高級そうな仕立てのスーツを着ている。
スーツの襟には、金色のバッチが輝いていた。
それは、彼が弁護士である事を表す、天秤のマークが入った金バッチ。
男性弁護士の名前は「高橋カズヤ」

そして、高橋の隣に座って居る女性。
長い髪を後ろで団子状にまとめ、シャープな銀縁メガネをかけていた。
メガネの印象と同じく、顔の感じもスッとして知的で、冷静沈着な雰囲気がある。
彼女もパンツタイプのビジネススーツを着て、襟もとには同じ金バッチが輝いていた。
女性も弁護士で、名前は「河野フウカ」

高橋は、カリンが務めている塾の顧問弁護士。
専門的には、経済系での法的事務を担当している。
だが、今回はそれとは違い、カリンの個人的依頼でこの場に赴いていた。

それは、強制性交等罪。

被害者は、高橋の目の前にいる、幸村カリン。
彼女は、夜の塾で男子生徒に性的暴行を受けた。
犯人は現行犯で逮捕され、警察に収監されている。

最初、高橋は公私ともに見知った間柄でもあり、この依頼は断ろうと思っていた。
だが、カリンの両親から懇願されて、弁護を引き受ける事とした。

そして、自分の刑事事件に対する弁護経験不足を補う為。
高橋は知り合いの弁護士事務所へ、サポートしてくれる弁護士を依頼する事にした。
そして、補佐として派遣されたのが、河野フウカである。

高橋が抱いた河野フウカの印象は…。

"弱きを助け、強きをくじく。"

そんな、夢と希望を持った、新米弁護士。
経験が浅い彼女に"現場"を経験させる…。
知り合いのそんな思惑に、まんまと利用されてしまった。
だが、高橋も知り合いに無償で依頼した事であるし、そうなるとこんなモンであろう。

しかし、カリンの両親とカリン本人が望んだのは、刑事裁判ではなく。
示談による解決だった。

刑事裁判ともなれば、結審まで長期化が懸念される。
その間、彼女とその周辺は事件を忘れることが出来なくなる。
大手塾の経営一家として、そうした醜聞が長く巷に残る事を避けたいと思うのは当然だ。

また、レイプされた事実が、法的書類などに記録として残る。
それも、当人としては気持的に辛い事だろう。
それならば、裁判沙汰にするより記録が残らず、短期間で決着する不起訴を選ぶ。
刑事罰ではなく、賠償金によるペナルティを課す方が得策と判断したという事だろう。

「じゃあ…、カリンさん…。」
「気持ち的には、大変お辛いとは思います。」

高橋はそう言いながら、胸元からボイスレコーダーを取り出す。
そして、ガラステーブルの中央へそれを置いた。

カリンは、少し顔をあげたが、再び俯くと身を固くする。
高橋の言葉で、事件時の記憶がフラッシュバックしたのかもしれない。

「ごめんなさい、カリンさん。」
「でも、警察の調書や犯人の供述と、食い違いがない事を示す為に必要なの…。」
高橋の隣に座って居たフウカが、優しい口調で声をかける。

「…でも…。」
「示談を反故にして、裁判で争っても良いのよ…っ」
「相手は"魔が差した"とか言ってるみたいだけど…」
「こんな事、そんな理由でうやむやにして良い事ではないわ…っ!!」
同じ女としての立場から、カリンの意識に共感して、フウカは鼻息荒くそう告げた。
そんな彼女を高橋は片手で制する。

「こら、変に気持ちがグラつく様な事を言わないでくれ。」
「もう、示談でコトを治めると本人とご家族は決めたんだっ」
高橋は少し強い口調で、フウカの言動を制止した。

フウカの気持ちもわからなくはない。

だが、問題を今更蒸し返すのも良い事とは言えないだろう。
それに、カリン本人と両親は、最短での問題終結を願っている。
正義の実現を望むフウカを補佐としたのは、失敗だったかも知れないと高橋は思った。

「…すみません。」
「フウカ君が、余計な事を言って…」
高橋は深く頭を下げ、フウカの非礼を詫びる。

「いえ、大丈夫です。」
「…でも、あの事件を思い出すのは…。」
カリンはそう言うと、両手で自らの身体を抱きしめた。

レイプは魂の殺人と言われている。
今、どれだけの辛い感情が、彼女を苛んでいるのか。

そう思うと、高橋の身の内にも犯人に対する怒りが滲む様に湧き上がる。
カリン本人とその両親は、高橋とは長い付き合いだ。
高橋は学生の頃から、カリンを知っている。
昔から高橋は個人で、彼女の勉強や困難解決には協力を惜しまなかった。
彼女が進路に悩み、両親と反発していた時期も知っている。
そんな時も、彼女を高橋は支えてあげた。

だが、高橋とカリンの唯一の失敗は…。

親身になってくれる大人への尊敬が、恋愛感情と誤認してしまう事は多々ある。
大人の男性でも、若く美しい娘が関係を求めて来たら、その誘惑を断るのは至難の業だ。
カリンの両親や周囲からは隠れ、カリンと高橋は大人な関係となった事があった。
だが、そうした友愛に近い疑似恋愛は、長くは続かない。
カリンが大人になるにつれ、二人の仲は自然消滅した。

今はカリンも高橋も、大人として、友人として良好な関係を築いている。

そんな彼女が見知らぬ男に、その身を汚された。

高橋が見知っている、カリンの裸体。
お椀型でありながら、たっぷりとした乳房。
しっとりとして、キメの細やかな肌。
白くしなやかなラインを描く肢体。

アレを男に犯され、心までも汚されてしまった。

ふと、高橋はカリンとの情事を思い出す。
甘く艶やかな喘ぎ声。
うねる様に悶え、高橋の腰に絡みつく太もも。
高橋のペニスを暖かく包むカリンのアソコ。
互いに肉体を絡みつかせた、性欲と愛情が混ざった記憶。

そんな彼女が知らない男に犯され、汚された。

そう思うと、高橋の腹の中には、熱い鉄棒が突き通された様なストレスを感じる。
高橋の体内は、そのストレスで抉られ、その痕からは居心地が悪く、薄気味の悪い感情が滲みだす。
自分の知っている女が、他の男とセックスする、させられる。
自分の中で鎌首をもたげた、そんなドス黒い感情を高橋は抑え込む。
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