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陸号
4P
しおりを挟む「あ、危なかったあぁ…………色んな意味で」
「助かったよ。あぁ、こんなことでこけそうになるなんて、歳は取りたくないものだね」
「もおぉー、どんっくさいわねえぇ。あたしがとっさに手を出さなきゃ今頃、テーブルの角に頭ぶつけてそこで情けなくのびてたわよ」
プレゼントとチユニの体にはよく見ると、とても細いワイヤーのようなものが何重にも巻かれている。
そのワイヤーの先をたどればどちらも、全て立ち上がって突き出されているレナの手から出ているようだ。
これがレナの能力。ユラやルカのように自然のものを生成し操るのではなく、長さや太さが自在に操れるワイヤーを自由に操ることができる。
今回のように物体に絡ませ操り人形のようにしたり、ワイヤーを素早く動かすことによって刃物のような切れ味を生み出し斬撃を繰り出すことができる。
レナが軽く指を動かせばプレゼントが自らチユニの手の中に納まり、チユニの体もワイヤーに引かれソファーに腰掛けた。
そうしてようやくワイヤーはレナの手の中に吸い込まれ、消えてしまう。
チユニには取れないと、諦めて「取ってよ」と言われると思っていた。まさか、無理やり取ろうとするなんて。とっさに素早くワイヤーを繰り出せたのは、レナの反射神経と技術力の高さの現れ。
「な、何よ?助けてあげたんだからお礼くらい言いなさ――」
「危なかったね?」
隣に座って一息ついたレナをジッと見つめニコッと微笑んでみせるチユニの笑顔は、少しも笑っていなかった。
すぐに、言わんとしていることはわかった。だが素直にその言葉が口から出ない。それが明神レナという少女。
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