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陸号
5P
しおりを挟む顔を背けバツが悪そうにツインテールの、赤っぽいリボンで結った薄紫の髪をいじる。毛先の枝毛を探し、チラッとチユニの顔を見てはまた目を反らす。
まるで母親に叱られている子供のよう。というか実際に叱られてはいるんだが。こういう時にやんわりと無言の威圧で押してくるチユニはさながら、微笑みの仁王。
チユニは大声で怒鳴ったりする叱りは苦手だから、あくまで彼らが自分のどこがどう悪かったのかを自覚させ自分から謝るように促す。
自分の悪いところを認め受け入れる強さを、チユニは信じている。
「そんな目で見ないでよおぉ。悪かったって思ってるわ。当たったのがわざとじゃなかったとはいえ、もう少しで主、怪我するところだったんだものね」
ソファーに足を上げて膝を抱えるレナはボソボソと、言い訳のように呟いた。
「いつも仕事が大変な主のために買ってきたチョコ、壊れちゃうところだったし。その………………ふざけすぎちゃって…………ごめんなさい」
紫色のクリクリとした目を向けられ、チユニは苦笑を浮かべ右手を振り上げた。
「ん、よくできました。食べてもいい?」
勢い良く振り上げられた右手は、フワッとレナの頭に乗せられ髪を乱すことなく優しく撫でる。
褒められ、真っ赤になった顔を隠すようにうつむいたレナがコクコクうなずけば、チユニは片手は頭をまだ撫でながらもう片方の手でプレゼントの包みを開けようとする。
器用なことだが、すごい器用ではないチユニには隙間なくピッチリ包んでいる包装紙をひっかくだけで破ることはできなかった。
一瞬止まって何度もレナとプレゼントに視線を注いだのち、しかたなく残念そうにレナの上を這っていた右手がプレゼントの包装紙をつまんだ。
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