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伍号
4P
しおりを挟む「嫌だ……ううぅ、でも、僕がやるしかないんでしょ。うわぁぁっ!い、嫌だけど、怖いけど……や、や、やぁぁっ!?や、やりますっ」
「ハクト。追いつけないかもしれないけど、フォローはするから。頼む!」
2人はうなずき合い、ハクトはハウンドの群れに駆けていき途中で拾った瓦礫で手の平を傷つける。痛みに目に涙を浮かべながらも前を向く。
前を向いて、流れ出る真っ赤な血を握り締める。すると血はまるで生きているかのようにウネウネとうごめき、やがて刃がやや長いサバイバルナイフを形成する。
両手に1本ずつ、ハクトの血でできた赤いサバイバルナイフを握る彼は体調不良とは思えぬ素早さでハウンドを斬りつけていく。
が、1撃繰り出すごとにフラッフラッとフラついて危うい。長くはもたない。
己の血を自由自在に操る。それがハクトの特殊能力であり、彼が抱える闇。ほぼ常に体調不良なのもこれのせいだ。
自分の体を傷つけて大量の血を出し、その血をコントロールして武器にして戦ったり壁や膜状にして防御することもできる。
他にも色々できるらしいが、なにぶん己の血液だ。体外に出せば出すほど失血により死に至る。人間なら。
ハクトの場合、膨大な量の血液を一気に使えばその直後に倒れて数日寝込む。が、すぐに体内で血液が生成されるので死ぬことはない。たぶん。
実はハクト自身、どれくらいの量まで使えるのかは試したことがない。ただ、1番少量で戦うならこの、サバイバルナイフ2本だ。
元々運動、というか戦闘が得意ではないので他の月子達よりもかなり劣る。動けても、攻撃に重みがない。
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