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弐号
3P
しおりを挟む「でも……昨日のアレは、僕がもっと強かったら……」
「強かったらって、レンマくらい?もっと?それで何とかなる相手だった?わからないよね」
「…………わからない、です」
自分の体が女のようだからだけではない。昨日、能力で現場にいち早く到着しライトが言った“先客”を追っていたのに見失った。しかも何も覚えてないことにイラついている。
あの時、確かにシャノンはライトの指示通りモスグリーンの12階建てのビルの屋上で“先客”を見つけた。
そして逃げたので追いかけた。シャノンが見つけた“先客”はあの黒い影の男同様、黒い影の人らしいが体格が違う。やや背が低く細身のようだった。
走って逃げる黒い人はシャノンが何度も瞬間に前に回り込むので逃げられないと悟ったのか、彼を指さして何か言った。シャノンが覚えているのはここまで。
超強烈な睡魔がシャノンを襲い、立っていることも目を開けていることもできずにビルの屋上で眠ってしまった。
シャノンの特殊能力は瞬間移動。ヒロキのサイコキネシスのように何かと便利だが、使う条件が2つある。
1つは、シャノンがその土地を理解していること。初めての場所へは移動できない。だから空いた時間によく、まだ行ったことのない場所へ散歩に出かけるのだ。
もう1つは、シャノン自身のレベル。扱う者が精神的にも肉体的にも強く、かつ能力を使うことに慣れていなければならない。
生まれてしばらくは1メートルを一瞬で移動するのがやっとだった。今では障害物がなければ約1キロ先まで一気に行けるが、都心部では障害物を避けながらだな。
「でも、気にするなと言われて素直にうなずくことはできない」
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