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弐号
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しおりを挟むしかし逆に、区切りさえつけてしまえば真面目なシャノンのことだ、次への教訓にすることなどわけないだろう。
変わるなら今だ。今しかない。レンマが手を差し伸べてくれる、背中を押してくれる、今を逃せばあとは絶望しかないぞ。
「『嫌だ』ってハクトのマネしたってアカン。シャノン、自分の強さを知るんや。笑うてみぃ?ほんのちょびっとでえぇんや、ゆっくり深呼吸して、笑うてみぃ?」
「ぼ、僕はレンマとは違う。僕は……」
シャノンは逃げるのを諦め、じわじわ湧いてくる絶望感に震えることも忘れ、スッとうつむいた。もう無理だ。
目を閉じてゆっくり、息を吸い込んだ。一旦止めてゆっくり、息を吐いた。体の中の闇を少し吐き出せたような気がする。
ずっと力が入っていた眉間の力を抜いてゆっくり顔を上げ、目を開く。ジッとレンマを見上げる。やっぱりデカいな。
近い。とても、今までのシャノンではありえない距離だ。しかも手をつかまれている。まっすぐ見つめ返してくれる赤い瞳は優しい。
あぁ、こんなにも大きかったのか。こんなにもたくましかったのか、僕の弟は。と、シャノンは思った。
レンマがニカッと明るく笑ってみせるので、シャノンもつられて「クスッ」と笑った。笑えた。自然に笑えた。
「あ、えっ……そんな、嫌だ。笑って楽になるなんて。何で、酷い……」
「な、笑うたら気持ちが楽になったやろ?わいかて今まで色んな辛い苦しいことはあったんや。けど、いつまでもウジウジしとんのは性に合わんからやめた。塞ぎこむんは3日まで!あとは気持ち切り替えて前向いて突き進む!」
「そんなの、通用するのはレンマくらいだよ」
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