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参号
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しおりを挟む――見つけて、もう1時間が過ぎようとしている。先に到着していたシャノンとチユニ、それから少し前に合流した他の月子達が集まって見守る。
やっぱりというか、リンクスが現れた。どこからともなく、卵の前から後ろから、上からも襲ってきた複数のリンクスを片っ端から倒していく。
倒してもまたすぐに現れ、現れては倒すを何回も繰り返した。一体、何体のリンクスを倒したのだろうか?
「…………止まって、る?」
「ライト、中はどうなっているんだいっ?」
「ち、チユニさん、俺のはそういう能力ではありませんから。お役に立てずすみません」
動いては止まる間隔が徐々に開き、やがて卵は完全に動かなくなってしまった。ウンともスンとも、中から音は聞
こえない。
月子達8人とチユニとサクマは慌てた。まさか、生まれることなく卵の中で死んでしまったのか?最悪の最期が頭をよぎる。
チユニはライトに縋りつく。が、ライトの能力は現在には通用しない。というか、この非常事態にふさわしい能力を持っている月子はいない。
「おい、やめろレンマ!中の子まで壊す気かッ!!」
突然飛び出し、卵の前に立ってグッと握り込んだ拳を振り上げるレンマの右腕が、一瞬止まった。
月子で1番の力を誇るレンマを止めたのは、嫌な予感がしてとっさに手を伸ばしたヒロキ。サイコキネシスで怪力のレンマを、止めてみせた。
何を思ったのか、錯乱したのか。卵を破壊するつもりか?レンマの怪力では中身まで壊してしまう、ヒロキはそう思ったのだろう。
が、それもほんの一瞬だけ。1秒にも満たない。レンマは、振り向くことも言葉を発することもしなかった。
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