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参号
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しおりを挟む「………………ありがとう。気持ちは嬉しいけど、すまん、他を当たってくれ。恋愛に興味ないんやない、今はそんなん考えられへん。大丈夫、あんたは可愛えし優しいからすぐにえぇ人見つかるて」
うつむいてしばらくの沈黙ののち、レンマは顔を上げて苦笑を浮かべた。そして首をかしげる。
今度は彼女がキョトンとしたまま固まってしまった。さらに沈黙が続き、レンマが心配そうに手を伸ばそうとした時だった。
彼女の口角が上がった。口元に手を当て、何がおかしかったのか「クスクス」笑う。
「ごめんなさい、そういう意味じゃないの。私、レンマさんのことは恋愛で好きなんじゃないわ。ヒトとしての好き。あの日勇敢に立ち向かい助けてくれた姿はかっこよかった」
「へ?」
2人とも、真剣だ。真剣に話が空回り。まぁ、可愛らしい女の子にそんなことを言われれば勘違いするのも無理ない。
レンマは改めて、彼女に言葉の意味を教えてもらい「なるほど」と手を打った。
結局は言葉のまんまの意味だ。レンマのことを人殺しだという者かいても背を向けて逃げるのではなく、面と向かって真実を伝える。
戦うのだ。嘘の噂を信じる者と、それから己と戦う。信じられなくても同志を信じ立ち向かい続ける。
「すまんすまん。なんや浮かれてしもうたな。命の恩人に一目惚れしてーって流れかと思うてしもうたけど、漫画の読み過ぎやな」
明るく笑うレンマにつられて彼女も笑い、レンマの右手を両手でギュッと握った。これにはさすがに彼もドキッとしたようだ。顔が赤くなっていく。
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