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黒いカラス
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しおりを挟むまだ16歳の女の子だというのに、これがカラスなのだ。とにかく誰よりも理解力がある、それに彼女の変態レベルの研究好きが重なってこうなった。
カラスが拾われてくるまでは神楽がこのポジションだった。嫉妬はある。だが諦めているのだろう、何もかもが圧倒的過ぎると。
神楽も白衣を身にまとい、支持された通りに3つの試験管を遠心分離器にかける。
彼らは研究者だ。彼らにとって月子達は魅力的な研究対象。しかしそれ以上に大切な仲間だから、苦しんでいる仲間のために一生懸命になれる。
種別は違っても仲間。カラスは特に、月子達のことをよく理解しているから何かしらの世話を焼いてくれる。
しかし神楽は、カラスよりも月子達との付き合いが長いはずなのにどこか距離がある。
サクマとレンマのようにプライベートで関わりがあることは一切なく、月子達と接するのはいつも仕事の時。研究者の神楽として会っている。
そこがカラスと神楽、ひいてはチユニや他の研究者と神楽の決定的な違いなのかもしれない。
カラスが派手でにぎやかな研究員なら、神楽は静かなムッツリ研究員。そしてそんな対照的な2人の共通点は、研究欲求には逆らえないということ。
神楽は神楽なりに研究員として、月子に興味がある。それこそカラスのように、いやカラス以上に。チユニやカラスの目を盗んで、月子にも気づかれないように月子のサンプルを採取していることもある。
致死量ぎりぎりの睡眠薬を投与し、眠っている間にメスで傷をつけたり。月子だからすぐに傷はふさがってしまうから、見つからない。
それを月子達も感覚的に感じているので、そこまで積極的には関わろうとはしない。あの超社交的すぎるレンマでさえ、だ。
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