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壱号
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しおりを挟むあぁ、突然出現した白と黒のハウンドやリンクスを何とかしなければ。サクマに指示させて――サクマは、死んだのだった。
ガクンッと崩れ落ちるチユニの体に、とっさに手を伸ばす者はいない。はずだった。ライトの役目だから、彼女は情けなく床にへたり込むはずだった。
しかしチユニは腕をつかまれ支えられたのだ。しかも1人ではない、腕をつかんでいるユラと、足に抱きついているミレイナだ。
「我、なんとなくだがライトが我らとは少し違うと気づいていた。紋様が時々、書き直したようにわずかに違っていたから」
何という観察眼。ユラはそれでも、ライトが何も言わないのならと気にしなかった。信じていたから。
「あのライトがそう簡単に敵の手に堕ちるはずがありません。何か考えがあって向こうに行ったんでしょう。でなければ……絶対、許しませんからっ」
「そうよ、あのライトよぉお?こうなること全部わかってたんなら、この先のこともわかったうえで行動しているはずだものおぉ」
「完璧な男だと思っていたけど、こんなところで手のかかる兄貴だとはね。信じてあげようぜ」
「ライトは絶対、戻ってくる。来なかったら、もう2度とお菓子あげない」
「逃げちゃダメ、戦うしかないんだよね。はぁ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…………でも、主のためなら、頑張る」
「なんか、すっげー気持ちっつーか心がグッチャグチャやけどさ、わいらはわいらがやることをやるしかないんよな?人間守るんがわいらの仕事やし、あっちは任せてぇな」
「お前達……ミレイナまで。こんなにわけのわからない状況なのに、強いんだね。しっかりしてる。でも私は無理だよ。こんな……」
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