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壱号
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しおりを挟むミレイナは能力以前に障害があるので、震えてレンマにしがみついていることしかできない。
「俺、ずっとチユニさんに隠していたことがあるんです。皆にも黙って、騙し続けてきた」
ライトはおもむろに口を開く。月子の紋様がある左腕を上げ、左手の甲を見つめる。右手で包み込むようにして強くこすると、そこには何もない。
消えるはずのない紋様が、手でこすっただけで消えるなんて。そして左前腕にいつも巻かれている包帯をほどくと、そこには“001”と黒い刺青のようなものが。
「俺はね、チユニさん。moon childじゃないんです。最初の、本当のmoon child壱号から造られた子供なんですよ」
「俺達は双子の3番目。この前兄さんや、そこのレンマが街で手合わせしたのが2番目だよ」
「母さんが最初の月子。あ、ということは神楽さんが私達のお父さんになるのかなぁ?ね、ちゃーんと家族だよ」
「神楽君が、月子の子供を……造った?ライトが……?じゃあ、彼が手に入れた神というのは、まさか本当の最初の月子……」
「「ご名答ーっ!!」」
嬉しそうに勢い良く振り上げられた2本の片ハサミはライトの頭の上でガキィンッ!と音を鳴らし、かと思えば双子とライトの姿が消えた。
どこに行った?外だ。隣のビル――もうすっかり崩れてしまったビルの残骸の上に立っている双子は、両サイドからライトの肩に手をのせてチユニ達を見上げている。
「「楽しい楽しい狩りは始まった。また遊びに来てあげるから、その時はチユニさんの首をもらうからねーっ!」」
そう叫んで双子は、ライトを連れて今度こそ消えた。全てがあっという間すぎて、まるで夢のよう。だが街中で飛び交う怒号や悲鳴が、これが現実だと肯定する。
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