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母との再会、仲間との決別
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しおりを挟む「俺も会いたかったですよ、母さん。あなたの真意を、あなたの口からちゃんと聞きたかったのでこうして大人しく戻ってきました。褒めてくださいよ」
顔を上げ、ライトは数年ぶりに母親の顔を――ライトグレーの瞳をまっすぐ見つめる。彼女の瞳はユラリと、波打つ水面のように揺れた。
「僕はこの世界の頂点に君臨する。もっともっと家族を増やして、この世界を自由に生きるんだ。それが、僕の意志だよ。あれ、そんな未来、見えなかった?」
ニコッと笑う彼女にライトは目を反らし、月を見て、そして彼女の後ろに立っている神楽に目を向ける。
未来を見る。それがライトの特殊能力。ほとんど自分の意思で見ることはできないが、夢で見ることもあれば起きている時にフッと見えることもある。
いつどんな時に見えるのか、それがどれくらい先の未来なのかは誰にも、ライト自身にもわからない。
写真のような静止画が見えることもあれば音のある動画、音のない動画、はっきり見えたりぼやけて見えたりと見え方も様々だ。
突然、強制的に見せられる。それが他の月子達の特殊能力との大きな違いか。
何が1番すごいって、戦闘になれば敵の攻撃のほとんどを予知して対処することができることだろう。これもライトの意志とは関係なく、自動的に発動してしまう。
他の月子達とは違って完全な守りタイプの能力。攻撃は己の体か、シャノンのように武器を使うのみ。それゆえライトは月子である意味最弱、ある意味最強と言われている。
彼のことだ。こうなることもずいぶん前からわかっていたに違いない。そして、これから起こることもわかっている。
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