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母との再会、仲間との決別
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しおりを挟む神楽の計画でチユニと出会い、彼女の優しさを知った。自分にはこの人を殺すことはできない。神楽の元へ戻るのが怖くなった。戻らないことを選んだ。
すぐ近くにいるのだからバレて無理矢理連れ戻されるのを承知の上だったが、神楽はそうしなかった。
ライトがチユニ側に寝返ることなど、神楽は見抜いていたのだから。そのまま放置して、必要な時は強制的に回収するよう考えていた。
自分はこの人には逆らえない。逆らっても、何の意味もない。その時ライトは痛感した。
「「えぇー!心を壊したら一緒に遊べなくなっちゃうじゃん、面白くなーい!」」
「緋月、那月、少し黙っていなさい。ライト、お前が何を考えているのか私は知らないが、どうあがいても無駄だ。この世界から人間を消し去り、邪魔をするならあの月子達も葬る」
「本気だ。己達も、神楽さんに付き従う所存」
ライトの脳裏に、月子達9人とチユニの顔が浮かんだ。手で胸を押さえ苦しそうに顔をゆがめうつむくライトを、壱号の彼女が優しく抱きしめる。
「辛いよね、苦しいよね、わかるよ。でも大丈夫。ライトはその時別の役割を与えるから、月子達とは戦わなくてもいいよ。というか戦えないよね、弱いし?」
「…………彼らにはまた会いに行きます。敵として。だから、この邪魔で邪魔で仕方のない心を壊してくださいと言ったんです」
神楽達は本気で真剣だ。そして、ライトもまた本気。真剣なまなざしで神楽をまっすぐ見つめ、頭を下げる。
これが、ライトが選んだ道。チユニ達とは決別し、神楽達――母親の元へ帰る。もう2度と戻らない。
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