moon child

那月

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神楽とチユニ

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「ミレイ、ナ……?」


 そりゃあ驚くだろう。唐突過ぎてされるがままのチユニは茶色の目をパチクリ。未発達の貧相な胸に押し付けている頬が赤く染まる。


 そして、理解した。ミレイナがどうしてこんな行動に出たのか、何を思っているのか。


「あぁ、私は弱いね。あの子達はあんなにも強い、しっかり自分の足で立って前を向いているのに。私は何もわかってない、わかろうとしていないね」


 ミレイナは再び、ブンブン首を横に振った。そうじゃない。伝えたい。でも上手く伝えられなくてもどかしい。自分の体が嫌になる。


 出会って間もなくても、こんなにもチユニのことを想っているのに。わかってもらえない。


 本当に自分は、しゃべれないうえに両目が見えないのだから役に立たない。迷惑ばかりかけてしまう、と考えてしまう。


 しかしミレイナは強かった。顔を上げると手探りでチユニの手を引っ張り、ベッドの上に放り出されているカラスの手の上に重ねた。それを自分の両手で包み込む。


 カラスの手は温かい。ミレイナの手は温かい。生きている。


「っ!」


「えっ、なにこれ…………ミレイナ……?」


 ミレイナが大きく息を吸い込み歯を食いしばって力むと、チユニの頭にある映像が浮かんだ。場所は研究室。赤い液体が入った試験管や顕微鏡、パソコンが見える。


 何か――カラスの中から見える映像だ。たぶん、カラスが襲われる前の彼女の記憶。それを、ミレイナが見せている。


 触れた者の記憶を読み取り伝える能力、それがミレイナの能力。ただし10番目の月子ゆえ、力を使うとかなりの体力を消耗するようだ。


「はぁっ……っ、はぁ……」


 小さく震え、荒い息を繰り返す。それでも見せたかったのだ、まだ希望が残されていると。


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