moon child

那月

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神威アーシル

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 神楽が勉強のためにと買い与えた数多い本の中の1冊。タイトルは「神様読本――神様は実在する!――」という、何とも子供だましな本だが。まさかこれを信じるとは。


「…………カミサマ?そう、か……私は、神様を手に入れたのか。そうか……」


「神楽さん?どうしたの?僕、すごいんだよ。すごすぎて僕自身、まだわからないことだらけ。だから、僕を徹底的に研究してよ。僕のことを教えてよ」


「研究って!大事なアーシルの体を、そんな風にはできない。まぁ、研究できれば世紀の大発見ということになるだろうが。私にはお前が、何よりも大事なのだ」


「それでもいいって言ってんの。神楽さんのためなら……ううん。神楽さんだから、僕を調べてほしいんだよ」


 アーシルは神楽の方を向いて座り直し、ギュッと抱き着く。震えてはいない。


 実験体になることを志願するとは、神楽は息をするのも忘れてしまうほど驚いた。アーシルの優しい言葉に、声に、心に震えた。


 揺らぐ心を静めようと力一杯抱きしめ、アーシルの「く、苦しいよ」という声でハッと我に返る。


 神楽は迷っていた。彼にとってアーシルはもはや大事な家族。傷つけ、調べ上げることなんてしたくない。しかし、そうしてアーシルがどういう生命体なのかが判明すれば彼女自身も嬉しい。


 何よりも新しい生命体がこの地球上に現れたことを発表すれば、世界レベルで称賛されるだろう。


 科学者もとい研究者としては、せっかく彼女が申し出てくれたのだから研究や実験に勤しむ方を選びたい。


 家族としてか、研究者としてか、悩みに悩んだ結果、神楽は結論を出した。もうわかっていることだが、彼は研究者であることを選んだのだ。


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