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神威アーシル
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しおりを挟む本当に徹底的に調べ上げた。アーシルという生き物が解明される。遺伝子の構造は?ここはどうなっている?こっちはどうだ?調べれば調べるほど、もっと知りたいという欲が膨れ上がる。
いつだっただろう。アーシル1人では寂しいだろうと、実験としてアーシルと神楽の細胞を使って同じような生命を造れるか試した。
その結果生み出されたのが、神月ライトだ。知能と記憶は母親であるアーシルから受け継ぎ、男性という体は神楽の影響が大きく出た。
特殊能力はアーシルのものは受け継がれず、代わりに新しい能力を開花させたわけだが。実験は成功し、彼女は子を成した。
これにより自信をつけた神楽はアーシルについての膨大な量の論文を書き上げ、月のゆりかごに提出しようとした。
その、数日前だった。邪神となり世界を壊さんとする未来の神楽の姿を夢で見て、ライトが脱走したのは。
そしてチユニがライトと出会い、チユニがmoon childを最初に見つけた者になった。ライトはすぐに話したのだ。自分がどんな生き物なのかを。
ライトはただ、恐ろしい神楽から逃げるためにチユニに助けを求めたのだろうが。まさかこれがきっかけで神楽が豹変するとは、文字通り夢にも思わなかっただろう。
数年かけてアーシルに知識を与え、調べ上げた努力が、たった1日で水の泡となった。
神楽は論文をかなぐり捨て、チユニを恨んだ。功績を上げるのは自分だった。ライトを奪った。地位を、名誉を奪った。
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