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本物の偽物
4P
しおりを挟む名付けるなら超重力パンチだろうか。2人の危機に血相を変えて跳んできたレンマが、月影の重力パンチを腹に食らいすっ飛んでいった。
崩壊した月のゆりかご本社の瓦礫の山に突っ込み埋もれ、姿が見えなくなってしまった。なぜ月影が?
「「……ってぇーなぁ!もうちょっと加減してよ、月影!」」
やっと晴れた水蒸気の中から2人のシルエット。立ち上がり、片ハサミを手にユラユラと歩き出す。
双子は生きていた。那月は右腕から脇腹のあたりに、緋月は左腕から脇腹のあたりに大やけどを負いながらも超陥没している地面から這い出てきた。
「加減していれば、上半身黒焦げだったぞ」
レンマと戦っていた月影が、爆弾が双子に襲いかかる寸前に双子に重力の負荷をかけたのだ。急直下した双子は地面に叩きつけられ、腕と脇腹のみの火傷で済んだ。
そしてレンマそっちのけで月影がヒロキとレナに襲いかかろうとしたので、レンマが慌てて跳んできたということだ。
すぐ目の前に月影がいる。ヒロキの理性は、飛んだ。
せっかく塞いでいた水道管の穴をまた爆発させ、噴き出した大量の水を凝縮、月影に叩きつける。が、相手は重力使い。月影が手を上げるとそこで水が止まって彼を避ける。
水を操る方法は、前にユラから教わっていた。ユラのように応用は効かないが、周りにある水なら多少操れるようになっている。
「てめぇだけは、絶対、殺すっ……ハルの、敵……ッ」
「お前……あの女の役目は、あそこで終わりだった。だから殺した。己の役目は、まだ終わらぬ。母さんの幸せの、ため、にっ……」
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