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moon child
17P
しおりを挟む「硬化ッ!強化ッ!速度上昇ッ!く、うっ……視力聴力嗅覚感度アップ!いくよライト、限界を超えてこの体が壊れても、全力でッ!!」
意外にも自分の体を武器とするアーシルは言霊を叫び、パンチや蹴りを次々と繰り出していく。
ライトも、隙を作らぬようアーシルの攻撃と攻撃の間に刀を振るい、突き、そのスピードをどんどん上げていく。
さすがは親子、息ピッタリだ。お互いにどの角度からどんな攻撃を繰り出すのかがわかっているから、信じているから、あんなにも見事。
左腕の炎も首の水蛇も振り払われてしまったが、ライトの月刀はケダモノの足から腹を斬り上げ襲いかかる無数の黒い触手を斬り飛ばす。
アーシルの拳がケダモノの腹を殴れば内臓とあばらが粉砕、漆黒の翼をつかめばミシミシッと引きちぎった。
しかし、それでもなおケダモノは引かない。再生途中のまま肩から先が黒い触手でうねっている状態で、前に踏み出す。
触手の1本1本が腕に、剣に、蛇になって2人に襲いかかる。複数の腕がアーシルの拳を打ち負かし、さらに顔面や腹を殴りつける。
漆黒の剣はライトの腕や肩を斬りつけ、蛇は足やわき腹に噛みつき肉を食らう。
真っ黒い血と真っ赤な血が何度もしぶきをあげ、攻撃がどんどん激しさを増して目で追えなくなってきた。
アーシルもライトも、体が限界を超えて攻撃をされていなくてもあちこち血が噴き出している。スピードもパワーも上がるばかりで1撃与えるごとに骨が折れる。
いつまでも様子見はできない。隙が無いのなら作るまでだ。アーシルはグッと固めた拳を、ライトはギュッと両手で握り締めた月刀を振り上げた。
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