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moon child
16P
しおりを挟む「ライト。私には見守ることしか、見届けることしかできないけれど………………皆を頼んだよ」
トンッとチユニに背中を押され、ライトは深くうなずいて地を蹴った。2つの紋様がある左手を胸に当て、大きく息を吸い込み、一気に振り払う。
ケダモノの胸が下から斜め上に斬り上げられ、真っ黒い血しぶきが舞った。
一瞬でケダモノの前に現れたライトの手には、一振りの刀が握られている。刃がやや透明めいた純白に輝き、けれど見る角度によって赤にも青にも黄色にも見える。
直接武器を持っての戦闘は、ライトは苦手だ。でも今は彼は1人ではない。皆がついている。
アーシルのパンチを避けたところにライトが刀を振り下ろす。ギリギリかするだけだが、刀から放たれた炎がケダモノの左腕に巻き付いた。ライトの右目がライトグリーンに光る。
もう一振りすれば斬りつけた首に、刀から飛び出した水の蛇が巻き付き締め上げる。ライトの右目が今度はライトグレーに光った。
「あっはははははは!ライトに全然似合わない武器!でも、君らしいね」
「爆笑じゃないですか。2人でデカい一撃を見舞って、怯んだ隙に来てください。一気に行きますよ」
ライトの中には取り込まれた12人がいる。アーシル抜きで自分の命と月の欠片と彼らの命を融合させた彼は、月の石及び月の刀を形成。
彼らから受け継いだ特殊能力を駆使しながら、アーシルが入ってこれるタイミングをうかがっている。
ライトは戦える。皆に支えてもらっているから。自分に自信を持って、前を向いて戦うことができる。たとえ待っているのが死だとしても。
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