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涙のあと
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しおりを挟むポジティブなカラスとは違ってチユニの心は弱い。そんなに弱ければ、邪神にとり憑かれてしまうぞ?
「これからは君達のことも、あの戦いのことも全く知らない子供達が増える。時間は過ぎることしかできないから仕方ないんだけどね。でも、君達をいなかったことにはさせない」
仕事の手伝いがない間、チユニは自宅でパソコンと向き合っている。自分がライトと出会った日からあの日までのことを、本にしているのだ。
そうして後世に残していく。それが彼女の、本当の最後の役目。
彼らとの思い出を思い出しては涙を流し、それでもキーボードを叩く。もはや意地だ。フィクションだと笑われるだろうが、それでも構わない。
信じてくれる人は必ずどこかにいる。そんな人が次の世代に、語り継ぐのだから。
「そうそう、ティカちゃんは今年も来てくれていたよ。あの子は23歳になって、先月結婚したって言っていたよ。お腹が大きくなっていたね」
ティカとは、レナの親友の人間の女の子だ。レナとは1番付き合いが長く、よく一緒に遊んでいた。
月子達の命日には必ずチユニの元を訪れ、花と手紙を渡す。その手紙をチユニが、この月に来ると読み上げる。
「お腹の子の名前、男の子でも女の子でもレナってつけるって決めたんだって。ふふっ。良い友達を持ったね、レナ」
レナがすぐそばで、顔を真っ赤にしてそわそわしているような気がする。それを見てレンマがちょっかいをかけ、尻に蹴りをくらわせているような気がする。
「それからレンマも、あの女の子が来てくれていたよ。大学を卒業して就職したって」
レンマと深い関わりのあるあの女の子。とあるゲーセンの従業員で、過去にレンマが殺したと言われている男の子の姉。
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