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真っ赤なバラと真っ赤な痛み
8P
しおりを挟む全力で暴れた。疲れたし、痛いし、失血しすぎて頭がフラフラする。品定めするようにノルウェムがアタシの周りを一周して、背後で止まった。
そうよ、アタシの背中には赤いバラの刺青があるの。大きくはないけどね。うなじの下に10センチくらいの、真っ赤なバラの刺青。
「アタシの組の名前、スカーレット・ローズよ。綺麗でしょ?ついでだから特別に名乗ってあげる。アタシはスカーレット・ローズの筆頭、リア。よーっく覚えておきなさいDeath Bulletの総長、ノルウェム」
結成して間もない、この世界では新参者のスカーレット・ローズ。これからは女の時代よ。
「スカーレット・ローズのリア、か。なるほど。よーっく覚えてはおいてやるがテメェ、生きて逃がしてもらえるとでも思っているのか?」
正面に回ったノルウェムがアタシの目を覗き込む。近い近い。ドンッて背中を押されたらチューしちゃう距離。大事故よ。
アタシの瞳の色は赤。真紅。昔、ある人に「お前の目は赤いバラのように深く綺麗だな」って言われたの。嬉しかった。だから組の名前に悩んだ時、これにしようって決めたの。
「あんたにアタシは殺せないわよ。逃がしてくれなくても、逃げるから。自信があるから名乗ったのよ」
ノルウェムの眉間にシワが寄ってグレーの目が険悪になる。「ヤクザの頭をなめんなよ」って顔ね。そんな顔で睨んでも怖くないしなめてないから。
隙あらば逃げるけど、心は逃げも隠れもしない。この場所を手に入れるまでは死なない。どんな手を使ってでも、絶対に諦めないんだから。
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