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勝利の美酒に酔いしれるは孤独なケモノ
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しおりを挟むうはっ。化粧が溶けていい加減汚らしいのに、拭った血でバケモノ級の顔だ。見張りの誰かが「ブハッ」と笑いを爆発。
顔から首から耳まで真っ赤にしているが、それ以上に真紅の瞳は深みを増した。吸い込まれそうな深い、真紅。
「レディの顔をブン殴るなんてサイテー。それよりあんた、記憶喪失なの?ぐっ……ふ、うぅっ……」
これは憐みの目じゃない。若干顔色が悪いか?俺の顔を映す真紅の瞳はユラリとゆらめき、俺の中へと侵入しようとする。何かを探すような目だ。
背筋がゾクッとした。この俺が、カマ野郎に悪寒を感じただと?とっさにグッと固められた拳がリアの腹にめり込み、俺にもたれかかってくる。
冷えきった体。減量でもしているのか、見た目の半分以下なんじゃねぇかってくらいに軽い。
離れようともがくリアの両腕を拘束している鎖を持ち上げ、首に巻き付ける。冷たく重い鎖にビクンッ!と肩が跳ね、顔を上げた。
「だったら何だ?失った記憶はほとんど取り戻したし、テメェには関係ない。それともテメェ、この俺以前の俺を知っているとか言うんじゃねぇだろうな?」
記憶喪失を俺の弱みだと感じたことはない。だから教えてやった。大きな組の頭が記憶喪失で驚くか、嘲笑うか?
鎖をグッと引き寄せれば、リアは苦しそうに顔をゆがめながらも俺の顔をジッと凝視。やはり何かを探している。
「ノルウェム……ノル…………そう。もしもアタシがあんたの、あんたがまだ思い出せていない過去を知っているって言ったらどうするの?」
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