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勝利の美酒に酔いしれるは孤独なケモノ
11P
しおりを挟む包帯の上から足の銃創をグリッと抉ると、じんわり赤い血が巻いたばかりの包帯を染める。
やっぱりまだ、リアの赤い瞳の奥にある光は消えていない。なぜだ?余裕の笑みまで浮かべ、イライラムカムカする。
足の銃創を押さえる親指をもっと奥まで押し込み、もう片方の手で痛みに悲鳴を上げるリアの前髪をつかむ。
引き上げて顔を近づけたその瞬間、頭がチリッと痛んだ。一瞬止まってしまった俺の隙を見逃すはずがなく、リアは俺の胸を両手で突き飛ばした。
当然、リアの方が力負けしてベッドへボフンッと倒れた。すかさず俺は手加減なく殴りつける。
「くそっ、なんだ今の……」
「大丈夫か、ノル?頭が痛むのか。ふむ…………俺が知らない、ノルの記憶が戻る前兆かもしれないな」
慌ててアランが飛んできた。心配そうに顔色をうかがってくれるが、もう痛みはない。1秒にも満たない、ほんの一瞬の小さな痛みだ。
頭を押さえていた手を下ろし、顔を上げてリアを睨みつける。反射的に手が動いていたからな、クリーンヒットした鼻を両手で押さえている。
その細い指の隙間から赤い血がにじんでいるということは、こいつが男らしくなったということだ。
ギロッと睨みやがった。全く怖くない睨みだが、リアが背中を向けて顔を拭う動作をするので腕をつかみ引き寄せてみた。
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