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巣屈にて
4P
しおりを挟むでも下半身を見事に腫れさせちゃったらしく、もう1度寡黙男にブッ叩かれた男は「ヌいてくる」と渋々、チラッとアタシに目を向けてから退室。
なんだ、つまんないの。しょうがないから、眠くないけど寝ようと鎖を引き上げて横になる。
寡黙男は何かあたしを怒るかと思ったんだけど何も言わないし。シーンと静まり返って居心地が悪いわ。余計に寒くなってきた。
この部屋、時計なんてないから窓から見える空の色で大体の時間を読むしかないの。もう夕方かしら?
DBへの初の襲撃でウチの死者は出なかったし、DBにも死者はいなかった。撃たれただの斬られただのは何人もいるけど。
そういえばイチカは大丈夫かしら?ノルにふくらはぎを撃たれていたけど。あの子はウチに入ってまだ1週間くらいだし、大人数での本格的な戦闘は初めてだったはず。
あの子は17歳にしてはちょっと胸が成長しすぎているのよね。だから、そのせいで学校ではいじめられ、親からは水商売に出されて。
アタシが彼女を見つけた時には獰猛な一匹狼だったわ。
どこで手に入れたのか、血で濡れたジャックナイフを両手で握り締めてガタガタ震えていたの。冷たい雪が降っていた。
彼女の足元には降り積もった真っ白な雪の上に横たわる、胸から血を流す男と女。彼女の両親。
水商売が嫌で逃げ出したところを両親に見つかって、連れ戻されそうになった。溜め込んできたものが一気に爆発して気付いた時には……
イチカの味方のはずの両親は敵だった。両親にはイチカが金の生る木に見えていたのかもしれないわね。
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