106 / 231
追われる者
4P
しおりを挟む「……心配すんな。お前のこと、洗いざらい全部吐いてやるから」
「や、やめろよっ!!?いっ!……っう、く……」
「あいつに見つかったんだ、もう潮時だろ。こいつらが巻き込まれるのは目に見えている。お前にもわかってんだろ?なら、私に任せて寝てろ」
今まで聞いたことも見たことのない、シャオリンのものすごく焦った顔と声。裏返ってたんだけど。
ガバッ!と勢いよく起き上がっちゃったから、もろもろの体の不調が一気に襲いかかってきて布団に顔をうずめる。
苦しそうに呻いて、わずかに顔を上げて自分をまっすぐ見つめるセイフォンをきつく睨みつける。
けれどセイフォンはふんぞり返って、手をヒラヒラ。アタシに暴露しようとしている。何を?シャオリンがこんなにも焦るほどのことって何?
でも、これでシャオリンのことがわかるかもしれない。ずっと聞けずにいた、彼女の過去。
だからアタシは言ったの。思い切って、彼の上司として、彼女の友として。椅子に座ったまま痛みに苦しむ彼を見つめ、口を開いた。
「スカーレット・ローズはワケアリばかりなの。皆、自分の消し去りたい過去を打ち明けてここにいるの。今までは聞けなかったけど、シャオリンだけ特別扱いはしない」
今度は彼の鋭い眼光がアタシに向けられる。まさしく手負いの獣。熱く荒い息を何度も吐いて、アタシの真紅の瞳を射貫く。
深く、奥まで刺さるような凶器の眼光。アタシと出会ってすぐ、意識が戻った瞬間もこんな感じの眼をしていたわ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる