109 / 231
追われる者
7P
しおりを挟む彼はシャオリンが生まれる前から彼女の監視役、そして彼女の戦闘訓練の相手を任されていた。誰よりもずっとそばにいた。
マジであんたっていくつなのよ?って聞きたくなっちゃうけど、今は我慢我慢。
食事は最低限。睡眠時間は1日2時間。忍耐訓練、戦闘訓練、英才教育、薬の投与、身体と精神の検査と研究。1日の99パーセントを占めるスケジュール。
その残り、わずか1パーセントの睡眠時間。盗聴器と監視カメラが付いた部屋で眠る彼女を、セイフォンはただ哀れみの瞳で見つめていた。
体が限界を超え胃の中身や血を吐いたことも、急に意識を失ったことも多々あった。そのたびに叩き起こされ、訓練を続行。
次第に彼女の体はその異常な暮らしに順応していき、ついには人を超える忍耐力を手に入れる。
人らしさを失って。心を持たないまま。感情を知らないまま。無機質なまま。完璧を目指す父親のため、期待に応える人形。
シャオリンは個人的に、だけど10歳を回った頃から周りの人達と自分の違いに気付いていたんだと思うわ。
自分に期待している父親のために胸まで斬ってしまうんだもの。偶然、父親が本当は息子が欲しかったんだという話をしているのを聞いてしまった彼女は、その場でいつも持ち歩いている青龍刀で斬りつけた。
未発達の胸を、何のためらいもなく斬り落とした。男になろうとした。今でもシャオリンには胸のふくらみはない、いつもサラシを巻いているわ。
その時ばかりは死にかけた。父親は自分の言葉を鵜呑みにする彼女に恐れを抱き始め、遠ざけるようになった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
14
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる