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追われる者
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しおりを挟む死なない程度に最低限、数日に1度のわずかな食事と水を支給されかろうじて生き続けるシャオリンはようやくなじんできた感情と心、人間らしさを失いそうになる。
失望しそうになっても、外での暮らしを思い出して自分を保ち続けてきた。
それが偽りの暮らしだったとしても、彼女にとっては確かに楽しい時間だったのだから。
それから数か月が過ぎたある日、彼女は脱走。一気に街を抜け、海まで渡っちゃってあたし達の国に亡命。手助けをしたのはセイフォン。
同時に、父親の死を知らされる。
「こいつの父親は私の中にある。死ぬ間際、ボスに気付かれねーように自分の記憶と想いを全て私に移植したんだ。あのヤロー、こいつの成長と変化に父親らしくなっちまってな」
父親は最期に、自由を求める愛する息子を解放しようと試みた。全てをセイフォンに託し。
数年ぶりに再会した息子の変貌ぶりに感化されたんでしょうね。訓練士とモルモットじゃない、ちゃんとした親子がそこにはあったの。
自分の手を離れてもきちんと仕事をこなし、外の世界に触れ“シャオリンらしく”なっていく彼の姿に可能性を感じた。
今ならまだ、普通の暮らしに戻せられると。だから残りの命を使ってセイフォンにある約束をさせた。
「私は、私が壊れて動かなくなるまでシャオリンを守り通す。命の恩人だし、あのヤローが改心したんだ。意地でも守ってやりたくなった」
セイフォンは“セイフォン”という名の人工知能のロボットであり、そして“シャオリンの父親”の魂を宿す。
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