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追われる者
17P
しおりを挟むシャオリンはご飯を食べない。いつも、食事の時は色んな種類の薬やサプリメントをがぶ飲み。
その理由も、セイフォンの話で明らかになった。今までまともな食事をしたことがないまま幼少期を過ごした彼は、表の世界に溶け込むために普通の食事をした。
その時は食べれていた。けれど帰宅してから、食べたものを全て吐いてしまった。何度やっても、体が受け付けることはない。
セイフォンが彼をなだめながらアタシの方を向き、首を横に振る。悪いわね、見なかったことにするわ。
「そんなに怯えなくてもいいわ、アタシが食べても吐かない魔法をかけてあげるから。アタシの魔法はね、かけられる人の協力がないと上手くいかないの。だからセイフォン、こっちに連れてきなさい。大丈夫よ、もし吐いても受け止めてあげるわ」
セイフォンが目を丸くした。布団の山の震えが止まった。イチカは、ジィッと見つめて待っている。
シャオリン、あなた吐くのが怖いんでしょう?外で食べたものを吐くより、誰かが自分のために作ってくれたものを吐いてしまうのが怖いんでしょう?
吐いたらまた食べればいいの。苦しくても、吐いたら食べるの。アタシが、無理矢理にでも食べさせてあげるから。
さぁ、どうするの?早くしないと出来立てで美味しそうな匂いが立ち上る卵焼きが冷めちゃうわよ?
「――――」
何て言ったのか、声が小さすぎて聞こえなかった。けれど近くにいたセイフォンが彼を布団の中から引きずり出し抱き上げてこっちに連れてきたあたり、食べるって決めたみたい。
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