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追われる者
18P
しおりを挟むソファーに座りセイフォンに体を支えられる彼のため、アタシとイチカはテーブルと椅子をソファーの近くに寄せる。
すごい仏頂面ね。むちゃぶくれの子供よ。とりあえず、温かいお茶を飲んで一息。
「……変な形。これ、イチカが作ったの?料理できないんじゃなかったっけ?」
「せや、やったことないんやけど筆頭が作ってくれ言うから先輩に教えてもろうてん。私のが嫌やったら先輩が握った、この綺麗なのん食べたらえぇ」
大皿に盛られた推定30個のおにぎり。全部のりが巻かれているんだけど、丸とも三角ともつかないいびつなものと綺麗な三角が混じっている。
イチカが作ったのがどれかは一目瞭然。アタシはのりがふやけて破れちゃってる、ちょっと大きめのを取って一口かじった。
「イチカ、これ塩がついてないわよ。あ、おかかだわ。でも食べ応えがあって美味しい。この調子で、簡単な料理もできるように教えてもらいなさいね。フフフッ、厳しく審査してあげるから」
ニギニギしすぎて塩が薄くなっちゃった?ちょっと大口を開けて食べないといけないけど、初めてにしては美味しいからニッコリ微笑むの。
するとイチカは嬉しそうに笑って、大きくうなずく。アタシ、甘い卵焼きが好きなのよ。期待してるわ。
イチカは先輩の女性が作った綺麗なおにぎり、梅干し入りを食べて眉間にシワを寄せた。すっぱい?あ、形が綺麗だから悔しいんだわ。
卵焼きも食べて、さらにシワが深くなっちゃった。アタシ好みの甘めで、でも甘すぎなくてフワフワね。とっても美味しい。もう1つ……
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