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距離
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しおりを挟むそう言って目を伏せるリアは、ある日を境にパッタリ姿を見せなくなったんだ。一言で言えば、家族に捨てられた。
自分の性別について悩みながらも必死に自分を貫き通していたリアを、ついに親は見限った。自分の子供ではないと、預けた施設に費用を払うこともなく逃亡したんだと。
それからリアはずっと1人で生きてきた。自分に誇りを持って、自分なりに一生懸命生きてきた。だから俺と再会できた。
「ずっと会いたかったのよ。大人になれば、大人になって自由になれば必ずノルにまた会えるって信じてた。だからそれまで、子供時代は我慢したの」
「…………必死だな。俺にそんなに執着する理由がわからねぇ。あの土地を狙う理由も、まだわかってねぇんだ。まさかとは思うが何か隠してんじゃないのか、リア?」
瞬間、真紅の瞳が大きく見開かれた。ショックを隠せない顔で、足は1歩下がって、力なく笑ってみせる。
「じ、焦らすのが好きなの?ここまで思い出しておいて大事なところがまだだなんて。じゃあ、もっと頑張って思い出さなきゃ。“オレ”を見つけたんなら次は“約束”よ」
名前を呼ばれた時により一層、肩が震えた。わずかに声も震えている。
ガキリアの次は“約束”だと?ということは、俺とガキリアが昔、何か約束をしたのか?
「っう!約束、だな……よし、必ず思い出してやるぜ。だからリアも、俺の7年前に辿りつくんだな。どっちが先か……あ、何だ……?」
ズキンッ!と強く頭が痛む。うずくまりそうになるが何とか耐え、手で頭を押さえながらリアに目を向ける。
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