アイデンティティ

那月

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 リアは俺のことが好きだなんて、俺の勝手な思い込みにすぎねぇってのに。押し付けたんだ。
 

 あぁ。雨でも降ってきそうな空だ。厚い雨雲が押し寄せてきて、低気圧に押し潰されそう。

 
 あぁ。雨が降ってきたのか。熱い雨が頬を滑って落ちていく。ビンタされた左頬がヒリヒリして、己が犯した過ちが現実だと強調する。

 
 あぁ。謝らないといけねぇな。俺の性格的に、素直に謝れるとも思えねぇんだが。それに、また会える気がしない。
 

 時間が解決してくれるとは思ってない。己の失敗は認めるさ。これで本気であいつに嫌われちまっても仕方ない。悔しいが、あいつが俺を拒否するなら諦める。

 
 俺はリアへの想いを捨てきれずにいつまでもズルズルしそうだ、実はそんなタイプなんだ。

 
 あんなに明るく楽しそうにしていたリアを泣かせちまうなんて。最悪だ。俺自身が許せない。

 
 笑った顔は愛らしく美しい、俺の心を明るく照らしてくれる。泣き顔は、これも綺麗だと思ったが俺の心が酷く痛んだ。不安になって、手を差し伸べたくなる。

 
 本気で怒った顔は俺でも少しビビるほど怖いな。だが戦っている時のリアは、一段と輝いて見えた。

 
 真紅の瞳は爛々と輝き、どんなに傷つき負けそうになっても揺るがない。いつでもまっすぐな、真紅い2つの宝石。

 
 手に入れたい。


 
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