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距離
8P
しおりを挟むただ単にものすごいあがり症だとか、ただ単にものすごい人見知りでない限り、ここまで顔を赤くしたり近寄って慌てるのは俺と同じ思いだと、そう思いたい。
俺はリアの赤い頬に、じんわり汗ばんでしまっている手に触れてそう言った。
「っ、最低だなあんた!!もう嫌……こんなことになるなら、来るんじゃなかった……」
熱い。左頬が、焼けるようにジンジン痛い。バチィンッ!と、静かな寒空に響き渡るほど力一杯引っ叩かれた。
リアは赤い瞳いっぱいに涙を溜めて、震える声でそう言うと背を向け、走り去ってしまった。俺の足は、動かない。
違ったのか、俺の早とちりだったのか。俺の願望が強すぎて、現実に妄想が上乗せされて見えていたのか?
何にせよ、リアは俺をぶって去った。泣いていた、傷つけた。いつもの俺ならそんなのどうだろうとかまわない。
けど今は、痛いんだ。全力でぶたれた左頬が。今にも泣きだしそうな顔と震える悲痛な叫びで、心が痛い。
垣間見えた“オレ”のリアが俺を突き飛ばした、ような感じがした。実際、突き飛ばしたかったんだろうと思う。代わりに“アタシ”のリアが平手打ち。
後悔先に立たず。何であんなことを言っちまったんだろう。あの時、リアは何を言いかけてたんだろう?
卑怯なんだ、俺は。自分の想いを打ち明けても断られるのが怖くて、あいつに俺を好きだとほぼ強制的に言わせようなんて。
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