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ハートビート
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しおりを挟む急に、隣に座っていたシャオリンがアタシを押し倒した。真剣な茶色の瞳に驚いたアタシの顔が映っている。降り注ぐ彼の想いに押し潰されそう。ゆっくり、悲しそうな顔が近づいてくる。
「それは私が許さねーよ」
急に、明るくなった。スッと伸びてきた腕が彼の腰を抱き、軽々と持ち上げて隣に座らせる。
「そんなに睨むな。ったく、私が大人しく静観しているのを良いことに強奪しようなんて。私の中にはお前の父親もいるんだぞ?」
あ、そういえばいたわね。存在感を完全に消していたセイフォンもといシャオリンの父親降臨。
大きな溜め息を吐くセイフォンは自分の膝の上に座らせ、シャオリンが逃げないようにガッチリ腕で腰をホールド。
すっかり機嫌が悪くなったシャオリン。さっきのが冗談じゃないから、彼はアタシを名前で呼び睨んでいるんでしょうね。
「悪気はないの、ごめんなさい。でもシャオリンに相談して良かったわ。まだイライラはするけど、これからはノルと向き合いながら7年前のことを調べるわ」
本当に嫌だったら相談に乗らなかった、この家に招き入れなかった。そこがシャオリンの優しさよね。
真剣に話を聞いてくれたし、男性として自分の意見も言ってくれた。トランス系の話もしてくれたし、他の人ならここまではできない。
お礼に今度、シャオリンが好きなものを買ってきてあげるわ。あんまり長居しちゃ悪いし、今日はもう帰ろうと立ち上がると手をつかまれた。
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