警察の犬は雨天がお好き

那月

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雨は降り続く

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「卑怯だよ、それ。そんなの…………僕のこと、わかってて…………あっあんな、こと……っ」


「お前の全てを知っても想いは変わらない。警察の俺が言うのもなんだけどな、殺人の罰を受けさせる気もない。存在しないまま、俺と一緒に償って生きていこう」


 俺の想いは伝えた。全ての真実も明らかになった。あとは、ミナギの返事だけ。


 壁に背を預け、黒い傘を抱く腕に力がこもる。斜め下を泳ぐ漆黒の瞳はやがてまぶたで覆い隠されて、抱えた膝に顔をうずめる。


「………………双子の、兄さんだけは僕の味方だった。僕がオシオキをされて閉じ込められて、夜中になったらいつも兄さんが来てくれた。温かい手で直接触れて、何度も謝って……」


 ミナギはポツリ呟いた。容姿は母親に、性格は父親にしっかり似ている双子の兄が。虐げられる弟の分まで幸せを、愛を独り占めしているからせめて。


 家族の前では両親に従順な良い子。けれど1人になれば閉じ込められている弟に駆け寄り、温もりを与える。


 そして誓った。○○君が警察の犬として売られることが決定し家を離れる前の夜、兄は「大人になったら、必ず迎えに行く。僕は家を捨てる。だから、遠いところで一緒に暮らそう」と言った。


 子供のうちは力がないから。売り飛ばされた弟の金で進学し、弟の金で塾に行き、弟の金で家庭教師もつけて。罪悪感にまみれながらも、きっと兄は歯を食いしばって両親の言うことを聞き続けたんだろう。


 自分は何不自由なく幸せ、のフリをして生きている。弟はどこで、どんな風に生活しているんだろう?調教でひどい仕打ちを受けたり、仕事で大怪我を負っていないだろうか?寂しい、死にたいと思っていないだろうか?


 きっと、そんなことを考えていた。14歳以下の小さな子供でも、半身ともいえる弟を想わない時はなかった。


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