警察の犬は雨天がお好き

那月

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雨は降り続く

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 兄は毎年開かれる、自分の誕生日パーティーには自分のとは別にとんがり帽子を用意していた。5年前のあの日だってそう。


 どこにいるのかもわからない○○君に向けて「ハッピーバースデー」を唱えて、とんがり帽子をテーブルの下で握り締めていた。


 ミナギが前の飼い主を殺してしまったのは、それが最後の命令だから。そして多分、1番の理解者だった兄まで殺されてしまったからかもしれないな。


 愛もなく忌み嫌っていた家族を、唯一の理解者だった兄を目の前で失った。生きる理由と居場所を、温もりを与えてくれた人を自分の手で殺してしまった。


 その事実を、心を蝕む呪いのように抱え隠してきたミナギ。


 苦しかっただろう。心が壊れ、狂ってしまってもおかしくない。今も、苦しいはずだ。そこへ、今度は俺だ。失うのを恐れている。


 ボロボロの○○君がなぜ俺を、次の飼い主に選んだのかはわからないが。もしかしたら、監視していたのかもしれないな。


 5年前のあの日、俺が乱入して前の飼い主の計画を、○○君の仕事を邪魔してしまったから。自分の存在を知ってしまった、本当の犯人の存在に気付くかもしれないと。


 とっさに思いついたのが、俺を新しい飼い主にしてずっとそばにいること。何年か一緒にいて、危険性がないと判断すれば姿を消す。


 もしも俺がミナギのことを口外すれば、俺は間違いなくミナギに殺されていただろう。罪が増えるだけじゃない、ミナギはまた深く傷ついて今度こそ立ち直れなくなる。


 これ以上ミナギに傷ついてほしくない。だから俺は俺の想いを打ち明けた。俺はミナギを守る、守らせてくれ。



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