ユキ・シオン

１人たす１匹は２人

６Ｐ

　俺は真面目に大学に通いながら、休みの日や放課後は毎日ばっちゃんの様子を見に行って。アルバイトもするようになった。


　俺にしかできないアルバイト。病院の近くで見つけた、猫カフェ。そこの従業員。


「ユキちゃんはいつも愛想がいいから人気ナンバーワンね。まるでお客さんの心がわかってるみたーい……ってよく言われるけど。マジだもんね？」


「いいじゃんか。俺は撫でてもらえるし新しいおもちゃもエサももらえるし、まぁ不味いけど。お客さんの要望に応えれば喜んでもらえて、また来てくれるんだからさ」


「あらあら、まるでホストみたいね。その調子でウチの売り上げ、うなぎ登りにしてちょうだい。はい、今月のお給料」


「あざーっす。えぇー、少ない。ナンバーワンなんだから、もう少し分け前多くてもよくね？来月は３割増しでよろしく、店長先輩」


「それはユキちゃんの頑張り次第ね。あと、これは先輩としてだけど。最近人間の姿でもネコっぽいしぐさしちゃってるから、気をつけなさいね」


　猫カフェの店長から仕事終わりに封筒を受け取る。中には今月分の給料。今のところ右肩上がり。


　従業員は従業員でも、猫の方。俺、実は白猫としてここで人間の客の相手をしてやってるんだ。最適だろう？


　それに店長は俺のことを理解したうえで雇ってくれているんだ。なにせこの店長の女、ジャガーだからな。


　２０代後半らしいけどさ、細身で若づく……若くて綺麗なのに、凶暴なジャガー。俺と同じ擬人化種。だから、店長先輩。


　人間的に言えば肉食系女子。明るくて可愛いところもあるけど、逆鱗に触れると怒ってチビリそうなくらい恐ろしく凶暴化するんだぜ。