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悪夢再び
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しおりを挟む彼女は「あたしもね、楽しかったよ。ネコヤンといると辛いことぜぇーんぶ忘れて、思いっきり彼女できた!ちょっと寂しいけど、気が向いたらまた一緒に遊んでね!」と声を震わせ、鼓膜が破れるんじゃないかってくらいの「ありがとう!!」を叫ぶ。
彼女が大きく息を吸った時点で嫌な予感はしたから、ケータイを耳から離していて正解だったなぁ。
俺も最後に「ありがとう」と告げて、そのまま会うこともなく関係を切った。だるい時が半分以上だったと思うけどさ、楽しい時間をありがとう。
あとは。これから俺はシオンを探す。今日は大学が休みとはいえ、連日で直也に呼ばれないとも限らない。
まずは大学へ行って、用具室を覗く。他の教室やトイレも探して、いないと判断すると大学を出る。
…………ど、どこを探せば。そういえばシオンの家も知らない。あんまり堂々と街を散策していると直也の知り合いに見つかるしなぁ。
クビを言い渡されて、この街を出るようにとも言われたけれど。出るつもりはない。
ある程度従って、俺も逆らえないんだと認識させる。そうして直也や直也の両親達がどうするのかを見定めるつもりだった。
それに別に出て行かなくても、あいつらの脅しともとれる命令を聞かなくてもいいんだよ。なにせ俺には強い味方がいる。
何かと俺の面倒を見てもらっている方だから、わざわざお手を煩わせたくはない。だからあえて大人しくしている。
今頃どこかでくしゃみをしているであろうお方を想像しながら、歩く。
切り札は最後までとっておくものだろう?
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