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冷たい体と熱い想い
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しおりを挟む動けない体。かすれた声。完膚なきまでに叩きのめされた、ボロボロの体。血まみれの体。また、理性がブッ飛びそうになった。
けれど俺は約束していたから思いとどまれた。直也を殺さない。大人の力を使って直也を終わらせると。
すでに連絡はしていたし、置いてきた直也は今頃警察に捕まってパトカーの中かな。あとは、騒ぎを聞きつけた直也の両親が邪魔しに来るだろうが。
まぁ、あの方にこのあとのことは全部頼んであるし、大丈夫だな。全てが落ち着いたら、今度差し入れを持って行きますよ。
できればシオンも一緒に。紹介したいんだ。あの方は特別な方だから、きっとシオン、俺のバックにいるのがあの方だって知ったら驚くんだろうなぁ。
俺のこともよく知っている、信頼のおけるあの方のことを考えているうちにタクシーが止まった。
タクシーを降り、シオンの消えない耳と尻尾を見られないように細心の注意を払い、家の中に入ってカギをかける。そこでようやく安堵の息を吐いた。
「なんか、数日前のデジャヴだなぁ」
直也に心身ともに痛めつけられ、気を失っているシオンを家に運ぶ。風呂場で綺麗に洗って、怪我の手当てをして、ベッドに寝かせる。
今回は長時間雨に濡れているから素っ裸というわけにもいかないので、少々デカいが俺の服を着せた。
何度も何度も蹴られたんだろう。腹全体が、背中全体が赤黒く染まって腫れている。見るだけで、触れるほどに胸が締め付けられた。
たっぷりと軟膏を塗って、包帯を巻いて。傷が覆い隠されると少しだけ、気が楽になる。
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