ユキ・シオン

那月

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ライガー王

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 ――シオンが震えている。めっちゃ震えている。俺のケータイを握り締めて、顔を真っ赤にして「ふ、ふざけんなぁっ!!」って。


 ケータイを床に叩きつけてブッ壊してしまう勢いで、俺に投げ返す。剛速球。


 けれど俺も、これでも一応は猫科なわけで反射神経は抜群。素晴らしい動体視力でケータイをキャッチ。拍手。


「コンビニ行く!晩飯作ってやるから、ついてこいっ!」


 あぁ、これはしばらく機嫌が悪いな。だってシオン、ネコの大ジャンプで超ドヤ顔してたもんなぁ。天井ギリギリまで跳んだんだぞ。


 それでスカだもんなぁ。そりゃあ、シオンの性格を考えればこうなるわな。いや、すまん。


 俺は「お供させていただきます」と、マスクをつけてご機嫌ナナメなお姫様と外へ。お姫様の耳と尻尾が出てしまわないように気をつけながら、荷物持ち。


 コンビニは隣の隣だし、10分で帰宅。途中、電柱の陰に追い込んでマスクを下げてキスを迫ったら顎をつかまれた。


 ご機嫌取りは難しいなぁ。「おいこら変態」ってこめかみをピクピクさせて。まぁでも、そのまま押しきってやったけど。


 直後にダンッ!と思いっきり足を踏まれて、お姫様の機嫌は悪化。トホホ……


「今日は何を作ってくださるのですか、お姫様?ん、そうめん?」


「はぁ、お姫様ぁ?何のことだよ。腹が減ったから早く食いたいし、すぐにできるトマトそうめん。まぁ見てろ」


 シオンは料理が上手い。ケータイで調べたりして料理のレパートリーを増やしているそうだが、大体は創作。おばあさんと毎日、交代で作っていたんだとか。


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