ユキ・シオン

那月

文字の大きさ
174 / 756
準備体操よーい

11P

しおりを挟む

「はいはい、お客さーん終わりましたよー。風呂上がりだし、このままだとマジで風邪ひくぜ?」


 役目を終えたドライヤーを適当な場所に放り投げ、悠一の髪を指で梳いてやる。いつもボッサボサだから、なんか新鮮。


 オレンジにほど近い茶色の髪はサラサラでまっすぐ。前髪が目にかかって痛そう。でも悠一は俺の胸に顔をうずめたまま、拗ねる子供のよう。


「…………お客さんじゃないし。だけど、風邪はひくわけにもいかないから。冷めた体は温め合おうね、シオン?」


「う、わぁっ!んっ……もー、びっくりするから、んむっ……抱き上げるなら先に言え、んんっ」


 拗ねた子供は途中から急成長を遂げて大人に。顔を上げて、ニヤリと意地悪く笑う。


 ほら、やっぱりキス魔。悠一は立ち上がりながら俺を抱き上げた。抱き上げてキス。俺がしゃべっている間にさらに2回。


 嬉しそうに、楽しそうに笑いやがって。俺にはそんな余裕なんてねぇよ。


 寝室の、ベッドに連れていかれる。そこで俺達はやっと、心も体も繋がれる。俺の中から不安が消えて、幸せで満たされる。


 そうすれば俺はこんな中途半端な姿じゃなくてちゃんと、“擬人化種のユキ・シオン”になれるんだ。


 でも、自分でも有り得ねぇくらいに心臓がバクバク鳴り響いて、まるで耳元に心臓があるみたい。体の内側から熱があふれて、暑い。


 俺も悠一も真っ裸だから、肌が触れているところが特に熱くて火傷しそうなくらい。悠一じゃねぇけど、鼻血が出そう。


 それくらいに俺は緊張しているんだ。初心な生娘みたいに無駄にドキドキして、悠一にしがみついてしまう。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

野球部のマネージャーの僕

守 秀斗
BL
僕は高校の野球部のマネージャーをしている。そして、お目当ては島谷先輩。でも、告白しようか迷っていたところ、ある日、他の部員の石川先輩に押し倒されてしまったんだけど……。

処理中です...