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ネコタチ
6P
しおりを挟む緋桜さん、明日の晩御飯は卵焼きだそうですよ。しかも、俺の予想だとそれが数日続きそうです。
香さんの話が気になって胸の中がモヤモヤするが。香さんに背中を押されて、ハラペコドクトルが待つテーブルへ。テーブルの上にあった食器は綺麗にまとめられ、緋桜さんがシンクへと運び始める。
「食器洗いは俺と猫屋敷さんが引き受けるので、シオン君達は休んでいてくださいッス。それとドクトル。香さんとシオン君に手を出そうものなら俺達にはすぐにわかりますから、ね?」
「シオン、ドクトルから1メートル以上は離れていろよ?あと、食器を割ったらスマン。先に謝っとく」
卵焼きが乗った皿をテーブルに置くと、やっぱりドクトルの手が伸びてきて俺の頬を撫でた。早かった。避ける間もなく、さらに腕をつかまれそうになったところで、バシィンッ!
悠一の大きな手の平がドクトルの後頭部をブッ叩き、緋桜さんが睨みを利かせる。
怪力と不器用を理由に割るな。先に謝っておけば割っても大丈夫だよな、みたいな顔をするんじゃねぇ。割るな。次割ったら37枚目だぞ。
俺と香さんはドクトルのテーブルを挟んだ向かい、少し距離を空けて座り壁に背を預ける。と思ったら香さん、モゾモゾ這って店長の前にあったチューハイに手を伸ばした。
「いたたたたた……。もう、容赦ないなぁ、たぶん。ネギ入り?見た目は完璧、しかもフワフワ、かも。いただきまーす」
うわっ、一口がデカい。熱々の卵焼きを4等分して、1きれをじっくり眺めてフーフー。中は半熟に仕上がってるぜ。
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