ユキ・シオン

那月

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からみつく

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 悠一は「俺は会いたくなかった」なんて言っているけどさ、まんざらでもねぇ感じに笑っていて。


 楽しそうに笑い合う2人が憎くて。悠一は俺のものなのに。緋桜さんや香さんとはまた違った意味で距離が近い。どんどん頭に血がのぼっていく。


 2人とも、俺の存在をすっかり忘れているんだな。ギリッと歯を食いしばり、耐える。男がどんな人物なのかを見極めて、なぜ悠一が怯えるのかを突き止めねぇと。


 でも、我慢にも限界はある。千川原という男が悠一の手をつかんだその瞬間、俺は叫んでいた。


「俺の悠一に触るんじゃねぇッ!!」


 ハッ!と気付いた時にはもう遅い。悠一は「しまった」と書いた顔を振り向かせ、男は思い出したように悠一越しに俺に目を向けると両手を上げた。


 降参?お手上げのポーズ。笑うんじゃねぇ。


「ごめんごめん。昔のクセみたいなものだから、自重するよ。そうだね、ネコヤンさんと君は愛し合う恋人同士。怒られるのは当然だ」


「すまん、シオン。こいつはソラン・千川原。ヘビの擬人化種でここの研究員だ。昔、俺が研究所内で迷子になるたびに案内してもらっていたんだよ」


 知るか。てか、施設内で迷子って!


 俺は駆け寄って悠一の腕に飛びつくと、引き離す。ギンッ!とソランさんを睨みつければ、また「ごめんね」と苦笑。謝ればいいってもんじゃねぇ。


 腹の虫がおさまらなくて、ダンッ!と悠一の足を踏みつけて「ユキ・シオン、白猫ですっ!」と叫ぶ自己紹介。だめだ、腹が立ってしょうがない。


 悠一も悠一だ。こんな、好青年ぶったなれなれしい男に気安く触りやがって。こいつに怯えていたくせに。


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