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蛇は卵を丸飲みします
15P
しおりを挟む「僕はあなたの体を再び手に入れた。あとは、前は無理だったあなたの心を、手に入れる。ネコヤンさんが愛する、あの白猫のシオン君をあなたの目の前で殺すことによって、ね」
俺の胸に両手を突いて、胴体をまたぐ。俺の腹の上に座った千川原は、ニヤリと口の端を釣り上げると白衣のポケットから何かを取り出した。
握っていた手を開くと、そこにはキラリと光る、銀色の指輪。俺の、シオンとおそろいの指輪だ。
やっぱり見つけていたのか!ガッ!と力の限り手を伸ばし奪い返そうとするが、腹立たしい拘束具がそれを阻む。
おぞましい言葉とともに千川原は、指輪が乗った手をググッと握りしめる。再び開くと、光沢を失ったいびつな形の金属が姿を現す。
「てめぇ、千川原ッ!!!!」
「おっと。これは僕にとっては汚いゴミ。早くシオン君を殺して、ネコヤンさんの心も僕のものに。でもその前にまずは……」
「シオンは殺させない!てめぇなんかに、指1本触れさせないっ!俺は、もう1度シオンに会って仲直りするって決めたんだ!俺はどうなってもいい。シオンは必ず、俺が守るッ!!」
俺の心を怒りが支配した。心の奥から燃えるような力がみなぎってくる。直也をボコッた時とは比べ物にならないほどの力。
これなら拘束具を壊して千川原をブン殴れる。この地獄から脱出して、シオンを安全な場所に避難させられる。
そう、思ったのに。「ぐ……うぉぉぉぉぉぉッ!!」と叫んで、力一杯腕を振り上げようとしたその瞬間。
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