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天才小説家、高台寺笑也
13P
しおりを挟むそれから復活した俺は月野木さんの名刺をもらって。何度も「何かあったら遠慮なくいつでも連絡ちょうだい」って、それはそれはしつこく帰るのをためらった。
結果、笑也に玄関から蹴り飛ばされる。蹴り飛ばして、すぐにドアを閉めてガチャンッ!と鍵をかけて。
「悪い人じゃないんだ。ただ、俺以上に腐ってるし、多分あの様子だとシオンさんのことが気に入ったみたいだな。ケータイの連絡先を交換してたら、ストーカーばりに電話来るぞ」
「腐男子作家に腐女子担当、BL小説では最強のコンビだな」
「いや?お互いにBLに理解がありすぎるから、それぞれの考えの主張が強すぎてよく喧嘩する。けど、アドバイスや俺のファンとしての感想が役に立つこともある」
笑也の女性版みたいな月野木さんがいなくなってから、またソファーに座って一息つく。
これからどうするのかの話をするかと思ったら、そんな話。小説なんて書いたこともねぇし、長文を書くのなんて大嫌いだからよくわからねぇけど。
とりあえず、笑也も月野木さんも今の仕事が大好きなんだってのはわかった。好きなことを仕事にできるなんて、すげぇいいよな。
「あの人の妄想、想像力は宇宙だ。作家として活動してもいいんじゃないか、むしろその方が売れるって思って話をしたことがあるんだけどな。あの人、『私はえみやん先生のファンだから、えみやん先生のお手伝いがしたいの』だってさ?正直、ゾッとしたぜ」
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