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本当の愛
16P
しおりを挟む途端にビクッ!と跳ねて、俺から離れようと肩を押す悠一の大きな手。ふざけんな。
この俺を拒むんじゃねぇ。言っただろ?悠一の心は俺が奪ってるんだって。だから、悠一がソランさんに傷つけられて苦しい時は、俺も苦しかったんだ。
その時は悠一に何が起こってんのかわからなかったんだけどな。息ができなくなるほど苦しくて、胸の奥が締め付けられるように痛くて。
けど、本気では抗おうとしなかったのも俺にはわかった。ソランさんを傷つけたくねぇって、甘い考えがあるから。
悠一はずっと、俺に助けを求めていたんだ。無意識でも、俺を求めた。
「あ……な……な、何やってんだよ。僕のネコヤンさん、返してよ!シオン君がネコヤンさんの心を持っている?それは思い上がりだ。ネコヤンさんは僕を愛しているんだから、心は僕がもらったんだ!」
「それこそ思い上がりだろ。初めて会った俺でもわかるぜ?第一、そんな状態の人と幸せに暮らせるのか?ハッ、良い大人がお人形遊びだな」
やっと我に返って悠一を奪い返そうと手を伸ばしたソランさんの前に、笑也が立ちはだかる。
ありがとな、笑也。本当はまだ怖いのに、カタカタ震える手でソランさんの手首をつかんでさ。俺達を守ってくれている。
ほら悠一、俺が出会った人間の友達。すげぇだろ?終わったらさ、お礼に俺と悠一がどれだけラブラブか教えてやろうぜ?
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