495 / 756
白からの黒からの赤
7P
しおりを挟む俺もアホだ。悠一のネタバレを聞いて、どんな内容なんだろうってすっげー気になったんだ。読みたくて読みたくてウズウズする。
だから、腹いせに悠一に背を向けるように本を手に横を向く。最初のページをめくって、カラーの肌色率の高い絵に鼻血が出そう。
あぁこの絵、笑也の家で見た。紫のUSBメモリに入ってた画像に、こんなのが何枚もあったのを思い出した。やば。俺弱ってんのに、体が熱くなってきた。
「悪かった。もうネタバレしないから、俺も隣で読んでいいか?2巻だが」
「俺を怒らせようと、わざと言ってんだろ?ふざけんなよ。もっと他に言うことがあんだろ?心を失ってても寂しかったって、俺に会いたかったって。やっとゆっくり、2人っきりになれたのに。そんなの……」
「……シオン。俺は――」
バッカみたい。声のトーンを落として優しい声で俺の名を呼ぶ。耳に、耳の奥にすんなり入って心地いい声。苦しくて、頬に触れてきた手を振り払った。
「俺はずっと寂しかった。会いたくて、声を聞きたくて、触れてほしくて。眠るたびに悠一の夢を見た。でも、夢の中の悠一は遠くにいるんだ。走っても、全然近くに行けなくて。最後に悠一は俺に背を向けて消えるんだ。夢だってわかってても、現実でも悠一が消えちまうんじゃねぇかって、怖かった」
あぁだめだ、声が震える。我慢しようとしても目が熱くなって、ギュッと目を閉じれば熱い滴がこぼれ落ちる。
「会って、話を聞いて。ソランさんの悠一への想いは本物だって実感した。やり方は間違っていたけどさ、それくらい本気で好きなんだっていうのが痛いくらい伝わってきた。でも、悠一は渡さねぇ。猫屋敷悠一は俺のだって、必死になってた。あのまま悠一が戻ってこなかったら俺、ソランさんを殺してたかもしれない。…………だからなのかもな。俺の体がこんな風になっちまったのは」
祈るように握り締めた自分の手は褐色。自分のものじゃないみてぇに、違和感が抜群。震えて歯が鳴るのを抑えようと噛みしめた唇に、鉄の味がにじむ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
野球部のマネージャーの僕
守 秀斗
BL
僕は高校の野球部のマネージャーをしている。そして、お目当ては島谷先輩。でも、告白しようか迷っていたところ、ある日、他の部員の石川先輩に押し倒されてしまったんだけど……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる