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白からの黒からの赤
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しおりを挟むあぁそうだな、おかげで完全に萎えた。不完全燃焼だな!
ポケットから取り出したハンカチで、拳に着いた俺の血を念入りに拭っているのは。香さんの命令を忠実に実行する忠犬、緋桜。
おいおい、そんな汚いゴミでも見るような目で俺を見るんじゃない。というか、俺とシオンとではずいぶんと態度が違うな?
「大丈夫ッスか?申し訳ありませんが、今の君が誰かと親密になるのはあまりよろしくないようです。詳しくは香さんがお話しますので。君も、もう後戻りはできません。こっちに来てくださいッス」
緋桜がシオンをえらく気に入っている、シオンが緋桜を非常に尊敬しているのは見ていてわかる。悔しいくらいに。
黙認。こんなことでいちいち嫉妬していたら、ガチでシオンに嫌われるからな。
ポカリされた頭をさすさすしていたシオンは、部屋にある洗面所で顔を洗った俺の手を引いて。そんで、ググッと鼻にティッシュを詰め込んだ。
痛い痛い。嬉しいような、泣きたいような。でも、「大丈夫か?」って心配してくれるんだよなぁ。
緋桜に手招きされ、俺とは反対側のベッドサイドに椅子を持ってきて座った笑也。こいつも、転んだ拍子に額をぶつけたんだな。
額を赤く腫らせた笑也と、俺と、さらにティッシュを押し込もうとしているシオンに目を向けた緋桜。「お待たせしました」と、背後のドアに声をかけた。
「「「「…………」」」」
ん?反応がない?4人の視線がドアに集中するが、シーンと静まり返るだけ。やがて、緋桜が大きな溜め息を吐いた。
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