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黒の王
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しおりを挟む「そのことなのだが。…………なんとなく、引っかかることがある。そこの、猫屋敷悠一についてだが……」
おとぎ話だのファンタジーだの言うのはやめた。とりあえず、心の中で「はぁぁぁぁぁっ!!?」と絶叫。
クロノオウって、黒の王!?名前は!?というかそのまんま、香さんの前の王って。シオンが色違いになってしまったのは、この人がメラニズムだからか。
次元が違う力があるのは、擬人化種の王だったから。黒は、メラニズム。あー、納得しちまっている俺がいる。
というか、力があるからってそんな簡単にシオンの体の中から抜け出せるのかよ。意外と自由なんだな。
じゃっかん1名、両手で頭を抱えてブンブン振りまくっているが、緋桜が懇切丁寧に噛み砕いて説明し直しているのでオッケーか。
オッケーじゃないのは。黒の王が視線を反らさないままに俺を指さしてきたってことだ。
「白猫、ユキ・シオンが出会った時はわからなかったが。猫屋敷悠一。ライガーであるお前の父親がライオンだが、父方の祖父母については聞いたことがあるか?」
「どっちものじいさんとばあさんの話は聞いたことがない。俺が生まれた時にはすでにいなかったし」
あ、やっぱり。シオンの中でずっと眠っていたとはいえ、全部知ってるな?黒の王はシオンが生まれてから今までをシオンの中で感じてきた。
当然、俺とシオンの関係も知っている。だから、俺とシオンを交互に見ては眉間にシワが刻まれている。
黙認でよろしくお願いします。と願えば、黒の王は1歩踏み出して俺のすぐ目の前へ。そして、スッと持ち上げられたうっすら透き通る褐色の手は、俺の頬に触れた。
「お前は、我が子孫だ。我の血は薄まってはいるが、その力は間違いなく我と同じ」
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