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黒の王
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しおりを挟む「150年前に戦争があったなんて、そんなの学校で習わなかったぞ?あれか、インペイってやつか?」
「小さいとはいえ1つの国が滅んだ戦争。滅んだのは、黒の王が擬人化種達のために作った擬人化種の国。とある島にあったのじゃが、その島が破壊され海に沈んでしまうほどの戦争じゃったよ」
黒の王の気配がさらに遠ざかる。香さんは、まるで学校の授業のように手を上げて発言をした笑也に深くうなずく。
というか笑也お前、学校に行ってねぇじゃんか。ってツッコミを入れるより、衝撃的な発言。
島が丸ごとの擬人化種の国?海の底に沈むほどの戦争って。そんなのを、人間は歴史から消したのか?擬人化種の存在も、全部。
信じらんねぇ。けど、こんなシリアスムードで「なーんて嘘じゃよ」とか言いそうじゃねぇし。失礼すぎるな。
「人間との共存をと黒の王の手を取ってくれた2人の人間は、黒の王の力を利用して他国を狙おうと企んだ。1人は、黒の王を他国の領土を奪うための最強の兵器として。もう1人は、黒の王を含めた擬人化種を商品として他国に売る商売をするために。2人の人間は黒の王をめぐって、そして黒の王は2人を止めるため、巻き込まれた擬人化種達を救うために戦争を起こしてしまった……」
黒の王は人間に裏切られた。この世界は人間がトップに君臨する、人間の世界。そこへ、擬人化種が加わることはできなかった。
ズキンッ。心が痛い。黒の王の心に引き込まれる。息苦しくなって胸を押さえる。香さんが「擬人化種の死者は、数十万人」と呟いた時、褐色の頬が濡れた。
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